初心者 | |
重要度 | |
難しさ |
こんにちは!テツです。
これからビジネスを始めようとする人で「個人事業主と法人のどちらで起業するか?」と悩んでる人もいるのではないでしょうか。
今回は、開業手続・経理処理・税金関係から比較し、個人事業主と法人の違いを検証しました。
この記事は以下のような人にオススメ!
- ビジネスを始めたいと思っている人
- 個人と法人のどっちが有利か知りたい人
- 個人と法人の特徴から起業判断したい人
個人事業主や法人の特徴を知らずに事業を始めたら、のちに苦労するかもしれません。
開業における特徴の違いを把握したうえで手続きし、経理や税金における特徴の違いを理解することにより、事業を始めた後も焦ることなく経営できるわけです。
最後まで記事を読んでもらえれば、個人事業主と法人の比較から違いがわかるようになります。
最後には、起業判断の材料として役立てることができるでしょう。
それではどうぞ。
個人事業主と法人の違いを比較-3つのポイント
個人事業主と法人の違いを3つのポイントに分けて比較します。
ポイント | 個人事業主 | 法人 |
---|---|---|
開業手続 | 簡単 | 複雑 |
経理処理 | 経費の範囲が狭い | 経費の範囲が広い |
税金関係 | 所得が低いときに有利 | 所得が高いときに有利 |
以上のように、個人事業主と法人はともに長所も短所もあります。
それではさらに詳しく3つのポイントを比較し、個人事業主と法人の違いを見ていきましょう。
開業手続の違い
個人事業主と法人の違いを開業手続や開業費用から比較して解説します。
それぞれの特徴を把握しましょう。
開業手続を比較
個人事業主と法人を比較すると、開業手続において設立登記が必要かどうかに違いがあります。
個人事業主
法人
- 設立登記は不要
- 個人事業の開業届
- 青色申告承認申請書
- 設立登記が必要
- 法人設立届出書
- 青色申告承認申請書
法人は、個人事業主と違って法務局にて設立登記が必要です。
登記申請書や添付書類の準備が大変なので、登記完了まで早くても2週間はかかると考えてください。
以後の手続きは、個人事業主と法人でだいたい同じです。
- 個人事業主は開業届を提出(税務署)
- 法人は設立届を提出(税務署・地方自治体)
- 青色申告したい人は承認申請書を提出(税務署)
このように、個人事業主の開業は税務手続だけ済みますが、法人は設立登記や税務手続と手間暇がかかるのです。したがって、個人事業主の方が開業手続では有利だといえるでしょう。
開業費用を比較
個人事業主と法人を比較すると、開業・設立にかかる費用に大きな違いがあります。
比較項目 | 個人事業主 | 法人 |
---|---|---|
開業・設立にかかる費用 | 0円 | 【法定費用】 株式会社:約25万円~ 合同会社:約10万円~ + 【資本金】 |
個人事業主は、開業にかかる費用は一切かかりません。
法人は、設立登記だけで数十万円も費用がかかり、資本金も準備しなくてはなりません。
資本金は1円からでも設立できますが、一般的には設立から3ヶ月分以上の運転資金を資本金として用意します。数百万円レベルの資本金が必要になりますが、これが社会的な信用度に直結します。
以上から個人事業主と法人の違いをまとめると、
- 個人事業主の開業は、費用がいらない
- 法人の設立は、数百万円の費用がいる
このように、個人事業主の方が開業・設立にかかる費用において断然に有利だとわかります。
経理処理の違い
個人事業主と法人の違いを必要経費や社会保険から比較して解説します。
それぞれの特徴を把握しましょう。
必要経費の比較
個人事業主と法人を比較すると、事業にかかる経費範囲の広さに違いがあります。よくあげられる代表的な経費は以下のとおりです。
比較項目 | 個人事業主 | 法人 |
---|---|---|
自分の給与 | 経費にできない | 経費にできる |
家族の給与 | 制限つきで経費にできる | 経費にできる |
自宅の家賃 | 使用部分だけ経費にできる (家事按分により算定) | 半分以上は経費にできる (家賃の50%~90%まで) |
出張の日当 | 経費にできない | 経費にできる |
生命保険料 | 経費にできない | 経費にできる |
個人事業主は、プラベートと事業の両方に使った経費は家事按分しなくてはなりません。また、原則では家族給与は経費にできませんが、青色申告者だけは制限つきで家族給与が認められます(届出有)。
それと比べて法人は、
- 自分の給与が経費にできる。
- 家族の給与も経費にできる(制限なし)。
- 個人事業主では認められなかった費用も経費にできる。
このように、法人は、経費化できる範囲が広いので節税対策おいても有利だと言えます。
社会保険を比較
個人事業主と法人を比較すると、開業時に社会保険の加入義務があるかどうかに違いがあります。
個人事業主
法人
- 国民健康保険に加入
- 社会保険に加入(義務)
個人事業主は、社会保険に加入できないため、国民健康保険に加入します。法人は、社会保険の加入義務があるため、必然的に加入が求められます。
以上の加入する保険の違いにより、経理処理も変わってきます。
- 個人事業主は、保険料を経費にできないが確定申告で控除できる。
- 法人は、保険料を労使折半のうえで、会社負担分を経費にできる。
このように保険料は「個人事業主は所得控除」「法人は会社経費」で処理できるため、どっちが有利かは比較できません。
しかし、社会保険は厚生年金もカバーされています。将来的な手厚さを考えれば、社会保険に加入できる法人の方が有利だと言えます。
税金関係の違い
個人事業主と法人の違いを、確定申告、納める税金、赤字の繰越から比較して解説します。
それぞれの特徴を把握しましょう。
確定申告を比較
個人事業主と法人を比較すると、確定申告にかかる費用負担に大きな違いがあります。
比較項目 | 個人事業主 | 法人 |
---|---|---|
確定申告書の作成 | ・会計ソフトが便利 ・利用料が発生する | ・通常は税理士に依頼 ・税理士料金がかかる |
個人事業主の確定申告は、会計ソフトを使うことで自分で作業ができます。税理士に依頼するよりも安上がりに済みます。
法人の確定申告は、税理士に依頼する場合がほとんどです。確定申告書や決算報告書の作成には膨大な知識がいるため、自分で作成する人は少数だと言えるでしょう。
以上の状況から、確定申告にかかる費用負担を比較してみると、
- 個人事業主の費用負担は、会計ソフト利用料として年間1万円から4万円程度。
- 法人の費用負担は、税理士の確定申告報酬として10万円から40万円程度。
このように法人と比べると、個人事業主の方が断然に費用負担が少なく有利だとわかります。
納める税金を比較
個人事業主と法人を比較すると、納める税金の種類に違いがあります。
個人事業主
法人
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税(所得290万円超で発生)
- 消費税(課税事業者になったら発生)
- 法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
- 消費税(課税事業者になったら発生)
上記の中でも、個人事業主は「所得税」、法人は「法人税」が基幹税となります。
所得税の特徴は、事業所得(利益)が大きくなるほど、急激に税率が上がっていく傾向にあります(最高税率45%)。逆に、法人税は、緩やかに税率が上がっていくのが特徴です(最高税率:23%)。
以上の特徴から個人事業主と法人を比較すると、
- 個人事業主の税金は、所得が低いときに有利
- 法人の税金は、所得が高くなるときに有利
このようにどちらが有利なのかは、事業所得の変化により変わってきます。
したがって、所得が低いうちは個人事業主で開業して、所得が高くなったら法人に組織を変更する場合がほとんどです。
赤字の繰越を比較
個人事業主と法人を比較すると、赤字の繰越期間に大きな違いがあります。
比較項目 | 個人事業主 | 法人 |
---|---|---|
赤字の繰越 | 3年 (青色申告の場合) | 10年 (青色申告の場合) |
赤字の繰越とは、過去の赤字と現在の黒字を相殺できる制度のことです。赤字と黒字の相殺により所得(利益)を減らせるため、結果として納める税金を減らすことができます。
個人事業主は、赤字の繰越期間が短いので、赤字が消化しきれない場合があります。逆に法人は、赤字の期間が長いので、赤字をゆっくり消化できます。
また、赤字発生年の税金負担は通常ありませんが、法人は違ってきます。法人では、赤字発生年でも、法人住民税(均等割)を負担しなくてはならないのです。
以上から、個人事業主と法人の違いをまとめると、
- 個人事業主の赤字繰越は短いが、赤字発生年の税金負担は一切ない。
- 法人の赤字繰越は長いが、法人住民税(7万円程度)の負担は免れない。
このように、赤字の繰越期間は法人の方が断然に有利ですが、赤字発生年の納税がネックになります。
まとめ:特徴を勘案して起業判断をしよう!
個人と法人のどっちが有利かわかりましたか?
個人事業主と法人の違いを比較してきました。
最後に、それぞれの特徴を勘案した起業判断のポイントをまとめますね。
個人事業主
法人
- 資金がいらないスモールビジネスに有利
- 所得が低めと見込まれるビジネスに有利
- 社会的な信用が必要なビジネスに有利
- 高利益だと見込まれるビジネスに有利
個人事業主は、開業資金や事業資金が少ない人に有利です。
スモールビジネスから始めて「事業や利益が拡大したら法人に組織変更したい」と思っている人に向いています。
法人は、BtoB(会社間取引)ビジネスを始めたい人に有利です。
BtoBビジネスは、社会的な信用が高いほど取引してもらえる可能性が高くなります。また、社会的な信用は、銀行融資や社員採用にも有利に働くので、経営資源の強化にも役立ちます。
以上を参考に、自分が始めようとするビジネスがどちらの組織に向くのかを判断してみてください。