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こんにちは!テツです。
初めて経理をする人の中には「帳簿に保存義務があること」を知らない人もいるのではないでしょうか。
実は、確定申告の種類によって、帳簿の保存期間が定められているのです。
この記事では、帳簿の保存期間と個人事業主の帳簿保存のルールを解説します。
この記事は以下のような人にオススメ!
- 個人事業主として初めて経理する人
- 確定申告後の帳簿の取扱いに困っている人
- 帳簿の保存期間や保存ルールを知りたい人
帳簿の保存義務を守らないと、税務調査のときに大変なことになるかもしれません。
税務当局から追徴課税されないためにも、帳簿の保存期間や保存ルールを知る必要があるわけです。
この記事を読み進めれば、帳簿の保存期間や保存ルールがわかります。
最後には、帳簿を正しく保存して、万が一のときに備えることができるようになりますよ!
それではどうぞ。
個人事業主の帳簿保存
このタイトルでは、帳簿の保存義務と帳簿保存の範囲ついて解説します。
それでは見ていきましょう。
帳簿の保存義務
個人事業主は、税法により帳簿保存が義務化されています。保存義務を守らなくても罰則はありませんが、税務調査のときに推計判定という不利な課税判定をされます。
具体的に、所得税法における推定判定の条文を見てみよう。
推定判定の条文
(推計による更正又は決定)
所得税法第156条 税務署長は、居住者に係る所得税につき更正又は決定をする場合には、その者の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額又は損失の金額(その者の提出した青色申告書に係る年分の不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額並びにこれらの金額の計算上生じた損失の金額を除く。)を推計して、これをすることができる。
上記の条文をまとめると「税務署が見積った金額であなたの所得金額を決めますよ!」という意味です。
税務書が決めた所得金額から所得税を再計算するので追徴税額も多くなると思ってください。
このように、個人事業主には、帳簿の保存義務があり、義務を守らないと税務調査時に推計判定で課税されてしまうと覚えておこう!
帳簿保存の範囲
帳簿保存とは、会計帳簿の保存だけではありません。領収書や請求書といった取引関係の書類も範囲に含まれます。具体的に、帳簿保存の範囲を見てみよう!
分類 | 内容 | |
---|---|---|
帳 簿 | 主要簿 | 仕訳帳、総勘定元帳 |
補助簿 | 現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | |
書 類 | 決算関係の書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など |
現金預金取引関係の書類 | 領収書、小切手控、預金通帳、借用書など | |
その他の書類 | 請求書、見積書、契約書、納品書、送り状、左記の控えなど |
ビジネスによって帳簿保存の範囲も変わってきます。
例えば、飲食店では、売上日報、オーダー票、従業員のタイムカードなども保存範囲に含まれます。
保存範囲に含まれるか悩んだときは「会計の計算根拠になった書類」「取引実態を明らかにする書類」を基準にして保存するかを決めてください。
上記に掲げる帳簿書類を基本として、ビジネスに関わる書類も保存範囲に含まれると覚えておこう!
帳簿書類の保存期間
このタイトルでは、確定申告の種類によって「帳簿書類の保存期間」がどうなっているかを解説します。
それでは見ていきましょう。
白色申告の保存期間
白色申告では、収入金額や必要経費を記帳した帳簿のほかに、業務に関して任意で作成した帳簿、受領した請求書・領収書などの書類も保存する必要があります。
具体的に、白色申告の帳簿書類の保存期間を見てみよう!
保存が必要なもの | 保存期間 | |
---|---|---|
帳 簿 | 収入金額や必要経費を記帳した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) | 5年 | |
書 類 | 決算に関して作成した棚卸表、その他の書類 | 5年 |
業務に関して作成又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 |
上記表からも分かるとおりに、保存年数が変わるので覚えにくいですよね!
経理実務では、帳簿保存の管理を行いやすくするために最長の7年で統一して、すべての帳簿書類を保存する場合がほとんどです。
したがって、白色申告する人は、確定申告期限3月15日の翌日から帳簿書類を7年間保存すると覚えておけば問題ありません!
青色申告の保存期間
青色申告では、主要簿や補助簿のほかに、決算関係、現金預金取引関係、その他の書類を保存する必要があります。
具体的に、青色申告の帳簿書類の保存期間を見てみよう!
保存が必要なもの | 保存期間 | ||
---|---|---|---|
帳 簿 | 主要簿 | 仕訳帳、総勘定元帳 | 7年 |
補助簿 | 現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | ||
書 類 | 決算関係 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金等 取引関係 | 領収書、小切手控、預金通帳、借用書など | 7年 (※5年) | |
その他 | 請求書、見積書、契約書、納品書、送り状、左記の控えなど | 5年 |
上記をからも分かるように、保存期間の大半が7年間になりますよね!
経理実務では、帳簿保存の管理を行いやすくするために最長の7年間で統一して、すべての帳簿書類を保存する場合がほとんどです。
したがって、青色申告する人は、確定申告期限3月15日の翌日から帳簿書類を7年間保存すると覚えておけば問題ありません!
帳簿書類の保存ルール
帳簿書類の保存方法は2種類。「書面」と「電子データ」による保存方法です。どちらを採用したらよいかを判断できるように、それぞれの保存方法を解説していきます。
それでは見ていきましょう。
保存形式のルール
会計ソフトなどの帳簿データは、印刷して書面形式で保存します。書類は、通常取引と電子取引で保存形式が異なります。具体的に、帳簿書類における保存形式のルールを見てみよう!
対象 | 取引種類 | 保存形式 |
---|---|---|
帳簿 | - | 書面(紙) |
書類 | 通常取引 | 書面(紙) |
電子取引 | 電子データ |
会計ソフトで作成した仕訳帳や損勘定元帳などは、プリントアウトして書面形式で保存するのが原則です。特例として電子帳簿等保存制度を利用して帳簿を電子データで保存することもできます。
通常取引は、領収書や請求書などを書面でやり取りするため、書面形式のまま保存を行います。
電子取引は、領収書や請求書をPDFなどの電子データでやり取りするため、電子データ形式で保存することが電子帳簿等保存法で義務化されています。
このように、帳簿書類の保存形式には「書面形式」と「電子データ形式」があると覚えておこう!
保管方法のルール
書面形式の帳簿や書類は、ファイルに綴じて保管します。電子取引データ形式の書類は、パソコン内などの記録媒体に電子データとして保管を行う必要があります。
具体的に、保管方法のルールを見てみよう!
対象 | 保管方法 |
---|---|
書面形式の帳簿や書類 | ・帳簿は印刷後のファイル保管 ・領収書などの書類もファイル保管 |
電子データ形式の書類 | ・パソコン内に保管 ・記録メディアに保管 ・クラウドサーバに保管 |
書面形式の帳簿や書類は、ファイルに綴じてまとめて保管しておけば問題ありません。税務調査のときに困らないように、わかりやすく整理してからファイルに綴じてくださいね!
電子データ形式の書類は、パソコン内・記録メディア・クラウドサーバーのいずれかの方法で保管します。クラウド会計ソフトの利用者は、会計ソフトの機能を使ってクラウドサーバーに保管するのがよいでしょう。
このように、帳簿書類の保管方法は、書面形式と電子データ形式では保管方法のルールが異なることを覚えておこう!
まとめ:帳簿書類の保存義務を守ろう!
帳簿の保存期間や保存ルールはわかりましたか?
今回は、帳簿の保存期間と個人事業主の帳簿保存のルールを解説しました。
最後に、帳簿保存の期間やルールで押さえておきたいポイントをまとめますね!
まとめタイトル
- 帳簿保存義務を守らないと税務調査のときに推計判定で課税される
- 帳簿保存の範囲には、領収書や請求書といった取引書類も含まれる
- 帳簿書類の保存期間は、白色申告と青色申告ともに7年保存しよう
- 書面形式の帳簿書類は、ファイルに綴じてわかりやすく保管しよう
- 電子データ形式の書類は、クラウド会計ソフトを使って保管しよう
帳簿保存が義務化されているのは、税務調査のためだと思ってください。
保存義務を守って正しく運用すれば、最終的に税務調査であなたの身を守ることができますよ!