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こんにちは!テツです。
帳簿上にときどき現れる「諸口っていったい何者?」と気になる人もいるのではないでしょうか。
実は、諸口は、複数の勘定科目を使って仕訳したときに現れる簿記科目なのです。
この記事では、諸口の意味や役割を押さえたうえで、具体的に仕訳での使い方を解説します。
この記事は以下のような人にオススメ!
- 経理を始めたばかりの初心者の人
- 諸口の帳簿上の役割を知りたい人
- 諸口を使って仕訳の処理したい人
会計ソフトが普及する時代において、諸口を使った仕訳も少ないかもしれません。
仕訳で使わないからと言っても、実際に帳簿上では「諸口」が登場するので、その役割を理解しておく必要があるわけです。
この記事を読み進めれば、諸口の意味や役割がわかります。
最後には、諸口の役割を理解したうえで、仕訳での使い方をマスターできますよ。
それではどうぞ!
諸口とは
諸口は何者?
諸口の読み方は「しょくち」です。諸(たくさんの)口(勘定口座)が由来で、複数の勘定科目をまとめるために使う簿記科目になります。
なお、諸口は、複数の勘定科目をまとめるだけであって勘定科目ではありません。
勘定科目とは、取引内容をラベリングすることです。
例えば、ボールペンを買ったら「消耗品費」というラベルを付けて記帳しますよね!
それでは「諸口」はどうでしょうか?
勘定科目にように取引内容を示すラベルではありませんよね。
そもそもの役割がまったく違うことから、諸口が勘定科目ではないと解るのです。
諸口とは、簿記上においてただの「科目」「表現」「文言」のようなものと考えてください。
帳簿上の役割
諸口の役割は、複数の勘定科目をまとめて転記したことを帳簿上で知らせることです。具体的に、例題を使って帳簿上で「諸口」がどのように表示されるかを見てみよう!
例題「諸口の帳簿上の表示」
例題:借入金100円と利息40円を普通預金から支払った場合
複合仕訳で表すと借方に複数の勘定科目が発生します。
仕訳帳
借方 | 貸方 | ||
科目 | 金額 | 科目 | 金額 |
借入金 | 100 | 普通預金 | 140 |
支払利息 | 40 |
上記の仕訳帳から普通預金元帳に転記されると以下のとおりになる。
普通預金元帳
相手科目 | 借方金額 | 貸方金額 | 残高 |
諸口 | 140 | 360 |
上記の普通預金元帳を見ると「諸口」が表示されたとわかりますよね!
普通預金元帳に「諸口」を表示させることで、仕訳に際して「借入金」と「支払利息」の2つの勘定科目が発生したことを知らせてくれるのです。
このように、諸口は、勘定科目をまとめて元帳に転記したことを知らせる役割があると覚えておこう!
仕訳での諸口の使い方
このタイトルでは、諸口の使い方と会計ソフトでの使い方を解説します。
それでは見てみましょう!
仕訳での使い方
諸口は、単一仕訳で記帳するときだけに使います。単一仕訳とは、仕訳帳の1行ずつ取引仕訳を完結させる記帳方法のことです。
具体的に、例題を使って単一仕訳のやり方を見てみよう。
例題「単一仕訳のやり方」
例題:借入金100円と利息40円を普通預金から支払った場合
仕訳帳(単一仕訳)
借方 | 貸方 | ||
科目 | 金額 | 科目 | 金額 |
諸口 | 140 | 普通預金 | 140 |
借入金 | 100 | 諸口 | 100 |
支払利息 | 40 | 諸口 | 40 |
上記からも分かるように、諸口を使って1行ずつ取引仕訳を完結させます。
このように、単一仕訳で複数の勘定科目を処理するときだけ、諸口を使って仕訳すると覚えておこう!
会計ソフトでの使い方
会計ソフトで複数の勘定科目を処理するときは、複合仕訳を使います。複合仕訳では、単一仕訳のように諸口を使って仕訳を行いませんが、総勘定元帳では「諸口」が表示されるようになっています。
具体的に、例題を使って複合仕訳と総勘定元帳の諸口を見てみよう!
例題「複合仕訳と総勘定元帳の諸口」
例題:借入金100円と利息40円を普通預金から支払った場合
複合仕訳では、諸口を使わずに仕訳を行います。
仕訳帳(複合仕訳)
借方 | 貸方 | ||
科目 | 金額 | 科目 | 金額 |
借入金 | 100 | 普通預金 | 140 |
支払利息 | 40 |
複合仕訳で諸口を使わなくても、普通預金元帳では「諸口」が表示されます。
普通預金元帳
相手科目 | 借方金額 | 貸方金額 | 残高 |
諸口 | 140 | 360 |
複合仕訳では、単一仕訳のように1行ずつ仕訳取引を完結させる必要がないため「諸口」を使いません。
ただし、普通預金元帳では諸口が表示されます。
複合仕訳で複数の勘定科目が転記されたことを利用者に知らせる必要があるからです。
このように、会計ソフトの諸口は、複合仕訳で処理されたことを帳簿上でアナウンスするために使われると覚えておこう。
まとめ|諸口の役割に意識を!
諸口の意味や役割はわかりましたか?
今回は、諸口の意味や役割を押さえたうえで、具体的に仕訳での使い方を解説しました。
最後に、諸口について押さえておきたいポイントをまとめますね。
- 諸口とは、複数の勘定科目をまとめたことを表す科目・表現・文言
- 諸口の役割は、帳簿に複数の勘定科目が転記されたことを知らせる
- 仕訳での使い方は、単一仕訳で複数の処理するときだけ諸口を使う
- 会計ソフトの使い方では、複合仕訳で記帳するので諸口は使わない
- 複合仕訳で記帳をしたときは、総勘定元帳では諸口が表示される
諸口の意味や役割がわかって、簿記への理解も深まったと思います。
これから帳簿を読むときは、諸口の役割を意識してみてくださいね!